STORY歩み、仲間

2021.11.30 初めての見学会
自分たちの意味に立ち返る

山神果樹薬草園が本格的に動き出してから1年が過ぎ、2度目の秋を迎えたある日のこと。コロナ禍に関する県内の動きもやや落ち着きを見せてきた10月、初めての農園・工場見学会を開催しました。徳島県立城西高等学校の生徒さんの課外授業です。食品科学科23名、アグリビジネス科21名が、見学とディスカッションに取り組みました。

農園では早生みかんを収穫し、工場では抽出機械(ペラトリーチェ)の大きさに驚く。抽出した精油の香りを確かめ、果汁保存用の冷凍庫ではマイナス30度の世界を体験する。どの場面でも、生徒さんたちは生き生きとした表情を見せてくれました。ディスカッションでは、「丸ごと皮削り国産すだちのしぼり酢」を使ったレシピを考え、山神果樹薬草園がもっと親しまれるためのアイデアを出してくれました。

今回の見学会を通して、私たちは、自分たちが外の人からどのように見えるか、意識するようになりました。また、山神果樹薬草園の意味にも立ち返りました。山神果樹薬草園には三つの意味があります。一つめは、和柑橘精油を安定的に生産すること。二つめは、精油をつくる工程で生じる、和柑橘の圧搾果汁や種子、内皮や袋などの繊維質(パルプ)を無駄にすることなく、それらを原料とした飲料や加工食品をつくること。三つめは、和柑橘の新たな栽培方法と用途を開発し、付加価値を上げることで、和柑橘生産者とともに栽培面積を広げ、徳島の里山を元気にすることです。この三つのうちのどれが欠けても、山神果樹薬草園の意味は減じてしまいます。

今回の課外授業で、生徒さんたちが示してくれた和柑橘の栽培と果樹農業への関心。モノづくりの現場への興味。これらを目の当たりにできた工場見学会は、私たちにとっても実りの多いものでした。「農業とモノづくりを両立して新しい価値を生み出そう」。そんな山神果樹薬草園の取り組みをもっと身近に感じていただけるよう、見学会を充実させ、一般の方にも参加していただけるようにできれば、と思っています。