STORY歩み、仲間

2022.05.13 遊ぶように土に触れる
神山工房 高島克晃さん

山神果樹薬草園がこの5月に発売した「神山工房の粉引石けん置き」。つくってくれたのは高島克晃さんです。山神果樹薬草園がある徳島県佐那河内村のお隣、神山町で陶房を営んでいらっしゃいます。4月、空気が澄みわたる標高470メートルにあり、周囲では季節の草花が咲き誇る陶房へお邪魔しました。

(以下、カッコ内は高島さん)

「40年ほど前、陶芸を勉強中に知人に誘われてここにやってきました。当初は1年間のはずだったのですが、ここの自然がすっかり気に入りまして、定住してしまいました。陶芸は1人でするものだから、集中できるこの静かな環境は恵まれていますね」

「最初はオブジェを制作していました。いろいろな作品をつくり続けた結果、今の自然の風合いを生かした、日常使いの器にたどり着いたのです。食卓におかれる瞬間、器が雰囲気にどう溶け込むかを突き詰めていったら、シンプルでマットな質感になりました。陶芸を始めて40年以上になりますが、それでもまだうまくいかないこともあるのです。今回の石けん置きも、水を切るための穴を真ん中にあけたのですが、ひびが入らないようにするための焼き具合に苦戦しました」

神山工房の粉引石けん置き」は、赤土に白化粧という白い泥をかけ、さらに釉薬をかけて焼く「粉引(こびき)」という技法でつくられています。白化粧の工程では、器の底にある高台を持って、白泥の中に浸けるのが一般的なのですが、今回の石けん置きは、刷毛で白泥を塗り、毛の流れによる風合いを活かしました。高島さんが長年にわたって編み出した釉薬をかけ、1,270℃前後という高温の灯油窯で本焼きすることで、独特の風合いが生まれました。

「私には、本当は飽きっぽいところがあるのです。けれど、土に触れていることは、いつまでたっても飽きない。不思議ですが性に合っているのでしょうね。『遊んでいる』と言ったら少し語弊があるかもしれませんが、土に触れているのはそのくらい楽しく、幸せな時間です」

「神山工房の粉引石けん置き」には、近くの清流・鮎喰川(あくいがわ)の砂が混ぜ込まれています。青石からできた砂は鉄分やマンガンを含んでいて、茶色や黒の模様となって器に浮き上がるのです。そんなところも楽しみながら、毎日使っていただきたい。高島さんも山神果樹薬草園も同じ気持ちでいます。