STORY歩み、仲間

2021.05.28 強く大きく育つよう
柚子の苗木を定植しました

山神果樹薬草園の敷地では、元々すだちと十万温州(じゅうまんうんしゅう)というみかんが栽培されていたため、柚子の成木はありません。そこで、昨年から柚子の苗木を育て始め、先頃定植しました。山神果樹薬草園の象徴として、強く大きく育てていきたいと思っています。

近隣の農家さんは、山神果樹薬草園によく顔を出してくれます。そして、アドバイスをくれたり、作業に手を貸してくれたりします。苗木についても「地植えよりポットのほうが肥料設計しやすいし、地植えよりも大きく育つよ」とアドバイスしてくれました。確かに、昨年地植えした苗木は、農家さんが育てているものより小さく、頼りない育ち方です。せっかく施した肥料が雨で流れてしまったからもしれません。来年に向けて、新しく購入した苗木の一部を1メートル四方の大きなポットへ植えつけ、残りは地植えすることにしました。

ひと口に定植といっても、いくつもの作業があるものです。まずは植え付ける位置を決めること。成長したときに葉や枝が混み合わないよう、ロープを張って2~3メートルの間隔を保ち、目印の杭を打ちます。場所によっては30度もの急な斜面を何往復もする地道な作業です。目印を打った所は油圧ショベルで掘削します。柚子の苗木の根の長さは、1年生で60センチ、2年生になると、ものによっては120センチになることもあります。強く大きく育てるためには、土を深く掘って、根をのびのびと張らせることが大切です。

 

さあ、これから植え付けです。根を丁寧に広げて穴に置き、堆肥と腐葉土を混ぜた土をかぶせます。昨年も何本か定植をしたのですが、水はけがよくなかったのか、あまり成長しませんでした。今回は土台を高くしてすり鉢状にすることで、水はけが改善されないか試すことにしました。少しずつ土を積み上げて形をつくっていくのは、まるで陶芸のよう。気がつくとみんな無口に、作業に没頭していました。

スタッフの一人はこう言います。「定植はスタッフのほとんどが初めての経験でした。しかし、毎日作業をしていくうちに、まわりの作業の進み具合を見て『次にこれを準備しておくね』といったように、どうすれば作業がスムーズに流れるかを、各々が考えるようになりました。スタッフの間にあうんの呼吸が生まれた気がします」。5年後、10年後、今回柚子が成木になった姿を、またみんなで懐かしく見上げることができればと思います。