STORY歩み、仲間

2023.08.03 草刈りと水やり
つらい作業の思わぬ味方

農園仕事のなかで最も過酷、とにかくつらいのが夏場の草刈りです。2019年3月に柚子の苗木を植え付けるところからスタートした和柑橘栽培。以来毎夏、刈っても刈っても生えてくる下草と闘ってきました。ところが今夏は草刈りに、とある変化がありました。今回はそのお話です。

日中の強い日差しと高い気温のなかで草を刈っていると、体力がみるみる奪われていきます。汗もぶわっと噴き出し、脱水症状を引き起こしかねません。それを避けるため、前日に天気予報をチェックして、翌朝、まだ薄暗いうちから草刈りを始めることもあります。今年の草刈りもつらいことに変わりはないのですが、ある変化に気づきました。今までより背丈の低い草の割合が増え、背丈の高い草が減ったのです。

実は今年から、草の刈り方を変えていました。これまでは土が見えるくらい、地面すれすれまで草を刈っていたのですが、地面から数センチだけ草を残すようにしたのです。これならカミキリムシ退治や摘果など、農園作業の邪魔になりません。どうやらそれが功を奏したようです。作業の邪魔になる背丈の高い草が低い草の勢いに負けて、伸びてきません。おかげで今年は草刈りの回数がグッと減り、かなりラクになりました。

草はさらに働いてくれます。私たちの農園には苗木から3年生程度の幼木が多く、土の乾燥は致命傷になります。日照りが続くと水やりをしなくてはなりません。水やりには敷地内の溜池の水も利用しています。バケツに汲んだ水を何度も運んで、幼木の根元に丁寧にかけてやります。乱暴にすると土が流れてしまうからです。この草刈り並みの大仕事も、今年は回数を減らすことができました。草が土を乾燥から守ってくれているからです。本当に助かっています。

これまで私たちは草のことを「雑草」と呼んできました。けれど、いまは雑草とひとくくりにするのがためらわれるほど、私たちのために働いてくれています。そこで今回のSTORYでも、雑草ではなく「下草」「草」と書くことにしました。