2025.07.28
有機物を循環させる
斜面の開墾と半日陰農地
5月末、山神果樹薬草園では、敷地の南側斜面を開墾しました。ここはひょろひょろした枝ばかりの中低木や、草やツル植物が伸び放題というありさま。これまで手を着けかねていたのですが、「きちんと整備して活用しよう」という声のもと、とある試みも兼ねて、皆で一斉に取りかかりました。
5月末、山神果樹薬草園では、敷地の南側斜面を開墾しました。ここはひょろひょろした枝ばかりの中低木や、草やツル植物が伸び放題というありさま。これまで手を着けかねていたのですが、「きちんと整備して活用しよう」という声のもと、とある試みも兼ねて、皆で一斉に取りかかりました。
まずは8本のスギと中低木を伐採し、長さを4メートルに切り揃えました。これを土留めや階段に使えっています。太さが20~80mmの枝はチップ状に加工し、土壌改良剤として使います。また、和柑橘果実の最終残渣を堆肥にするときの水分吸収のためにも使います。ここまでは、私たちが継続的に実践してきた作業です。しかし、今回は新しい挑戦、バイオネストをつくりました。
バイオネストをご存じでしょうか。細い木の幹や枝を鳥の巣のように、丸く組んだものです。植物発生材を運搬・処理する手間を省きながら堆肥にできる、という方法です。作業したその場で、剪定枝などの発生材を組み合わせて土台にし、落ち葉や刈草などを投入することで継続的に堆肥にできる、という簡便さに優れています。一般的な堆肥づくりに必要な切り返しや菌の添加はなく、気温や降雨の水分、昆虫や土壌動物、自然界の菌糸の活動により、ゆっくりと分解が進みます(参考:一般財団法人公園財団ウェブサイト)
また、伐採したカシの木を枠にして、半日陰の場所に花壇をつくりました。花壇に植えたのはドクダミと和ハッカの苗です。ドクダミも和ハッカも地中にしっかり根を張るので、土壌を支えるとともに表土の流亡を防いでくれます。繁殖力がとても強いので、短期間で表土を覆ってくれることでしょう。将来的に考えている、ソーラーシェアリングの実験としても位置付けています。花や葉を摘み取って、松山油脂でつくる石けんやスキンケア製品の原料にすることも目指しています。
できる限り使いきる、最後は土に還す。この活動は山神果樹薬草園らしい、有機物循環への貢献の仕方と考えています。