STORY歩み、仲間

2022.07.13 黄金色の柚子のしずく
柑橘コーディアル

「コーディアル」をご存じでしょうか。ハーブやフルーツを漬け込んだ濃縮シロップを、イギリスではこう呼びます。元気を呼び覚ますものともいわれているそうです。そのコーディアルを山神果樹薬草園がつくった理由、おいしさの理由を、今回はお伝えしたいと思います。

山神果樹薬草園では、柚子の果実を4段階で活用してきました。最初は精油の抽出です。金属製の爪で外皮だけを強く掻き取りながら、表面のボコボコとした油胞を潰して精油を搾り取っています。そして、松山油脂の墨田と富士河口湖、両工場に運び、天然の香料として石けんやスキンケア製品に配合しています。

2段階目はしぼり酢とジュースの製造です。外皮を削られて苦味成分が取り除かれ、白い綿のような繊維質に包まれた柚子をギュッと潰して搾った果汁を、そのまましぼり酢に、あるいは伊予柑などの果汁と混ぜてジュースにしています。

そして3段階目ではジャムの素材に。とはいえ、搾汁後の繊維質や内皮、袋は原料果実の70%にもなります。ジャムの素材として使いきることは到底できません。

そこで最終4段階目として、堆肥の資材にすることにしました。搾汁後の果実は産業廃棄物として処理されることも多いのですが、山神果樹薬草園では、半熟堆肥化したシイタケ菌床や竹パウダーを副資材として混ぜて何度も切り返しをし、有機菌床堆肥に仕上げて農園内の土壌改良に活用しています。

ところが、ある日スタッフが声を上げました。「搾汁後の繊維質や内皮、袋には、まだまだ柚子の香味が残っている。もったいない。食材として使えるのではないか」

確かに、香味はもちろん、ポリフェノールを含んでいる素材を食べないのは非常にもったいない。それに「使いきる」前に「食べきる」試みをするのが山神果樹薬草園ではないか。

そんななか、別のスタッフから「砂糖漬けにすれば、繊維質や内皮でも、きっとエキスが引き出せる」というアイデアが届きました。食材のレシピ開発をしている、松山油脂富士北麓ラボラトリーのスタッフで、日頃から個人的に梅酒づくりなどに親しんでいる女性です。

そこから素材の選定と工程の開発が始まりました。一緒に漬け込む砂糖は、サトウダイコンの糖を結晶化させた、粒の大きい氷砂糖を選びました。ゆっくりゆっくり溶けて柚子にしみ込み、浸透圧でエキスを引き出してくれます。雑味がなく、柚子の香味を邪魔しないことも決め手になりました。

搾汁当日に瞬間冷凍した柚子を解凍し、氷砂糖を重ね、香味を飛ばさないよう熱は加えず、攪拌すること約4日間。氷砂糖がすべて溶けたのを確認した後、まずはひと口食べてみました。

なんという濃密な味わい! 柚子の強い酸味と氷砂糖が絶妙に混ざり合い、甘酸っぱくて香り高い砂糖漬けに仕上がっていました。

砂糖漬けは歯ごたえ豊かで、弾力が残っています。そこで、搾汁機でゆっくりと圧力をかけてみました。すると、黄金色のとろりとしたしずくを搾り出すことができました。山神果樹薬草園オリジナル「柑橘コーディアル」誕生の瞬間です。

使い方は多種多様ですが、例えば、しぼり酢と混ぜて炭酸で割ると、ノンアルコールカクテル風の軽い飲み物になります。敢えてお酒を飲まないソバーキュリアスの方にもご満足いただけるのではないでしょうか。

「柑橘コーディアル」の発売日は今日、2022年7月13日。皆さんのお手元にも、もう間もなく届きます。