STORY歩み、仲間

2023.03.10 11月には着果
柚子の苗木が成木になりました

2019年2月に柚子の苗木を初めて植えてから、もう4年になります。高さは膝のあたりまでだったのに、今では人の身長以上に伸び、幹の直径も2cmから7cmとガッシリ太くなりました。今回は苗木から成木へと育った柚子についてお伝えします。

植え付け当時、山神果樹薬草園にはスタッフがひとりしかいませんでした。しかも農業は未経験。もちろん教えてくれる方がいたのですが、目が行き届かず、葉をイモムシに食べつくされて丸裸になる苗木、繰り返し来る寒波に耐えきれず葉を落とす苗木が続出しました。今、私たちの背を追い越した柚子を見上げると、いくつもの困難を乗り越えてくれたことに、目頭が少し熱くなります。

柚子には成長に波があり、ぐんと伸びたのは昨年、自家製の有機菌床堆肥を使うようになってからのことです。樹間も狭くなったので一部を移植したのですが、地中深くに根を伸ばしていて、「こんなところまで!」と驚きました。これほど根を張っているなら、背も高くなるはずです。

2月から3月は三寒四温を繰り返しながら、少しずつ春に向かっていきます。今年は移植のほかに、剪定と誘引という作業もありました。「剪定」は主枝を選び、他の枝を切り、木の骨格を整えることです。将来の樹形を決め、苗木から成木へと段階を上げる大切な作業になります。本格的な剪定は初めてなので、私たちの柑橘の先生、近隣農家の市原善文さんに教えていただきながら作業をしています。市原さんは農業指導員もされていた、果樹栽培の大ベテランです。それでも、ハサミを入れる時はこれで合っているんだろうかと不安になると同時に、思うような位置に生えてくれない枝、それもトゲのある枝をうらめしく思います。

「誘引」はひもで枝を地面へ引っ張り、樹冠が横に広がるようにすることです。放っておくと柚子は上へ上へと伸びてしまい、剪定も収穫もしにくくなります。実は昨年初めて挑戦したのですが、タヌキなのかハクビシンなのか、200本ほど結んだひもをすべて切られてしまいました。今年はもう一人の先生、有機栽培を実践されている中村農園さんに教えていただき、切れないポリエステル樹脂のひもと、自分たちでつくった竹杭を使って再挑戦しています。

苗木から成木へと育った柚子の木々は、このまま順調にいけば、今年の11月頃、初めて実をつけることになります。何かの形で製品にしたいと思う反面、まずは自分たち楽しもう、という気持も抑えかねているところです。