STORY歩み、仲間

2023.02.01 角質水分量の向上を確認
柚子種子エキスを自家抽出

山神果樹薬草園では、これまでに柚子の外皮から精油を、果肉から果汁を、内皮・袋・繊維質からはリキュールやコーディアル、ジャムなどをつくり、有効活用してきました。これからは、そこに種子も加わります。

柚子を分解してみると、精油は0.3%、果汁は20%程度の量であるのに対し、外皮や内皮、袋、繊維質は計70%です。種子は10%、果実1個あたり平均30~40個含まれています。これを活用しないわけにはいきません。

山神果樹薬草園独自の丸ごと皮削り®製法のすぐれた点は、外皮、果肉、内皮、袋、繊維質と、柑橘を各部位ごとに生かすのが容易になるところです。種子も取り出しやすくなりますが、数が多いので手数がかかります。

私たちが種子に着目したのは、古くからの知恵の活用でもあります。柚子の種子は、民間療法の分野で以前から使われてきた素材です。柚子種子を漬け込んだ日本酒や焼酎は、お酒として親しまれ、あるいは、薄められ化粧水として使われてきました。これには科学的根拠もあります。柚子の種子を水につけるとヌルっとしてくるのですが、これはペクチン、水溶性の食物繊維で保湿作用があるのです。

山神果樹薬草園でも、柚子の種子の保湿作用をぜひ生かしたい。そうすれば種子まで、柚子を丸ごと使い切ることができる。そう考えて連携したのは、松山油脂富士北麓ラボラトリーです。富士北麓地域に自生している植物を、化粧品や食品の原料にできないか研究探索し、植物の研究栽培もしています。化粧品原料開発の実績もある、心強い仲間です。

柚子種子エキスも、まずは富士北麓ラボラトリーで抽出を試みました。しかし、香りや色は抽出できるものの、肌へのよい効果が確認できません。そこで、溶媒の種類、抽出温度や時間を変えて検討を進めました。柚子の種子は乾燥させたほうがよいのか、押しつぶしたほうがよいのかなど、溶質にも条件を設定しました。試作し、テストする。それを繰り返すこと4か月間、36通り。角質層の水分量を向上させるエキスの抽出条件を導き出すことができました。

柚子の種子にはリモニンという物質が多く含まれています(柑橘の外皮に含まれる「リモネン」とはまったく別の物質です)。富士北麓ラボラトリーで抽出したエキスにも含まれているもので、苦みの由来になっている物質なのですが、肌に対する有用性も探索中です。なお、柚子種子エキスは「国産柚子の全身用保湿水」をはじめ、「国産柚子のソープバー」「ハンドソープ」「ボディソープ」「ハンドクリーム」に配合することが決まっています。