STORY歩み、仲間

2024.06.06 有機JAS認証取得に向けて(2)
柑橘果樹の病害対策

山神果樹薬草園で栽培している柚子などの和柑橘は生果として販売するものではないので、虫などのために果皮が多少傷んでいても、精油・ジュース・リキュール・コーディアルの原料にできます。しかし、虫に葉を食い荒らされたり、病気で葉が萎縮したり枯れ落ちたりしてしまうと光合成ができず、実もならなくなってしまいます。今回は、2025年に有機JAS認証取得を目指している私たちが施している対策についてのお話です。

毎年4月、山神果樹薬草園ではすべての果樹に「ボルドー液」という薬剤を散布します。さまざまな果樹・野菜に使われる薬剤ですが、柑橘の場合はかいよう病、黒点病、そうか病、幹腐病などを防ぐために使います。散布すると作物の表面に薄い膜ができ、外部からの病原菌の侵入を防ぐとともに、銅イオンが発生して殺菌作用を示します。

有機栽培でも、病虫害や雑草による害に対して、何らかの対策が必要です。そのため、有機JAS規格では、農産物に重大な損害が生ずる危険があり、農薬の使用以外には効果的な防除ができない場合には、有機農産物の生産をするなかでも使うことのできる農薬を定めています(農薬工業会ウェブサイトより)。ボルドー液は規格に適合した、有機農産物に使うことができる農薬です。

ボルドー液は1885年にフランスで完成し、1897年には日本でも使われるようになりました。その都度希釈して使う、というひと手間がありますが、定められた使用基準を守れば、安全性の高い農薬です。

山神果樹薬草園は今後も手間をかけ、汗をかき、柚子やすだちを育てていきます。