STORY歩み、仲間

2024.07.04 廃菌床を半熟堆肥に
シイタケ農家 浜田光且さん

山神果樹薬草園では、搾汁後の柑橘残渣(ざんさ)を堆肥にしています。その製法を確立するまでの過程は試行錯誤の連続、なかなか思うとおりにいきませんでした。そんななか出会ったのが、山神果樹薬草園がある佐那河内村のお隣、小松島市のシイタケ農家、浜田光且さんと、浜田さんが手がけていらっしゃる「シイタケ廃菌床半熟堆肥」です。出会い以来、私たちの活動に惜しみなくご協力くださっている浜田さんにお話を伺いました。

「シイタケ廃菌床」とはどういうものですか。

(以下、カッコ内は浜田さん)
「シイタケを収穫した後の菌床のことです。浜田農園の菌床は、四国の広葉樹のチップ、小麦の殻(ふすま)、炭、炭酸カルシウム、コーンスターチ、ポテトスターチ、米ぬかでできています。肉厚で噛みごたえのあるシイタケができます。『天恵菇(てんけいこ)』という新品種、直径15センチ、重さ450グラムの大きなシイタケも収穫できるんですよ」

「シイタケを収穫した後の菌床は使いみちがなかったのですが、うちでは先代の父が、廃菌床を半熟堆肥にしてなんとか有効活用できないか、ずっと熱心に工夫をしていました。完熟する前の堆肥にはさまざまな微生物が混在していて、土をやわらかくしてくれます。廃菌床を半熟堆肥にできるようになったのは10年ほど前からですね。

「知人から『山神果樹薬草園というところのスタッフが会いたがっているよ』という連絡があったのが2年ほど前です。『シイタケ廃菌床を使った堆肥をつくりたい』という言葉で山神果樹薬草園の取り組みに興味を持ちました。実際に訪れてみたところ、施設の環境はもちろん、スタッフの働きぶりや現場に流れる空気に、表現しがたい爽快感を覚えたんです。帰る頃には、よくサウナに入った後に言われる『整う』に似た感覚になり、協力したいと思いました」

山神果樹薬草園の有機堆肥づくりをどのようにご覧になっていますか。

「柑橘の外皮を使うということで、最初は水分を飛ばすのに苦労されたと思います。私たちの半熟堆肥に加えて、竹パウダーに水分を吸わせて発酵を促したり、切り返しの回数を増やして堆肥内に酸素を十分に回したりと、課題をひとつずつクリアしてきましたよね。いい有機堆肥ができたと思います。これからは山神果樹薬草園が発信力を生かして、シイタケ廃菌床を使った有機堆肥の可能性や価値を、たくさんの方に届けてもらえるとうれしいですね」

お人柄をひと言で表すなら豪快そのもの。そこに多くの人が魅了されています。「助け合い、ご縁とつながり。これがあればすべてうまくいく」と笑顔で教えてくれた浜田さん。そんな浜田さんに「応援しがいがある」と思っていただけるよう、山神果樹薬草園はこれからも創意工夫と努力を続けていきたいと思います。